お母さんのお腹の中から外の世界に出てきた赤ちゃん。その小さな、でもかけがえのない命を育むもの、それはお母さんの「母乳」です。現在は人工栄養であるミルクも広く取り入れられていますが、古の頃から赤ちゃんを育ててきたのは母乳なのです。
赤ちゃんが育つために1番理想的な栄養成分が含まれているのが母乳でしょう。栄養成分の他に、感染症を防ぐための抗体も含まれているたいへん優秀なものなのです。
母乳はママの乳房の中で製造されます。乳房の中である乳腺で、血液が乳汁に作り変えられるのです。乳腺とは、汗を出す汗腺と類似したかたちをしています。
どの人にも共通して15から20個存在しており、乳房の大きさによって数が異なるということはありません。胸が大きいから母乳が出やすいというわけではないと言えるでしょう。胸の大きさが違うのは脂肪の量に差があるからで、乳腺数の差ではないのですから。
乳腺で生み出された乳汁は乳管を通って、乳管洞という場所に一時貯められます。赤ちゃんが乳首を吸うと、その刺激によって乳首から母乳が出るという仕組みになっているのです。
母乳である乳汁は、お母さんの体内の血液から出来ているという話をしました。血液が作り変えられているのに、母乳は乳白色をしており決して赤い色ではありませんね。不思議に思うかと思いますが、これは原料となる血液が集められる過程に秘密があるのですよ。白血球と栄養分は乳腺に取り込まれますが、赤血球は取り込まれないためです。
赤ちゃんがお母さんのお腹の中にいるときは、胎盤を通じてお母さんの血液から栄養を摂取しています。外の世界に生まれてきてからも、母乳という形でお母さんの血液が役に立っているなんて、生命の神秘を感じませんか?
妊娠中や授乳中の女性が、自分自身の食生活に気を遣う必要があるのは、お母さん自身の血液が赤ちゃんの生命を支えているからなんですね。
母乳の成分がたいへん優れていることはお話しました。母乳栄養には、それ以外にも大きな利点があるのですが、皆さんはわかりますでしょうか?
後ほど詳しく説明しますが、母と子の間の絆が強まるという利点があるんですよ。ママの乳房から直接母乳を飲むという行為が親子の絆を深めるために大きな効果があると言われています。
大好きなお母さんに抱っこされて、あたたかい鼓動を感じながら母乳を飲むことで、赤ちゃんは安心し満足する気持ちを感じることができるでしょう。
またママも、身を任せて自分の母乳を一生懸命飲む赤ちゃんを見ることで、自分自身の中にある“母性”を強く感じるはずです。特に初めての出産を終えたママ達は、自分が母になったということをしみじみと実感するでしょう。
赤ちゃんへの愛情が一層強まり、母としての自分に自身を持つことができます。母子ともに母乳によっていい効果を得ることができ、スキンシップもはかることができるために、親子の絆が強まるのです。
私も初めてわが子に母乳をあげたとき、「自分はお母さんになったんだなぁ」と感じることができました。「自分がこの子を守っていかなければいけない」と、女の子から母へと変わることができた瞬間です。
赤ちゃんも生まれた直後は母乳を飲むのが上手でなくて、新米ママの私も母乳をあげるのが上手でなくて、お互いイライラしたこともありましたし、随分泣かれました(笑)。
それが、段々とお互いのリズムがわかってきて、「あ・うん」の呼吸で授乳できるようになったときには、まだ言葉が話せない息子と通じ合えたような感覚を抱きましたね。
母乳をあげるという行為は赤ちゃんにとってだけでなく、お母さんにとっても大切なものなのですね。
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